限りなく軽く
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2011年時点の世界中で所有されるジェット機の台数は、旅客機が15,556機、自家用機もほぼ同数でした。この数字は、今後15年間で2倍になると予想されています。さらに、ボタン1つで操作できる機能が増え、客室がもっと快適になると言われています。これは、信頼性が高く、限りなく軽量で、しかも強力な小型のモータが大量に必要になることを意味します。FAULHABER社では、飛行機分野を、販売戦略の次のターゲットと位置付けています。そう考えているのは、マーケットセグメントの責任者、Robert Varonier氏だけではありません。このトピックでは、電動化されたフライトの現在と未来について、Q&A形式でVaronier氏にお話を伺います。


軽量で高性能なFAULHABER社のドライブシステムにより フルフラット位置まで調節できるシート

タッチレスの電動式便座はどのような お客様が使用するのでしょうか?

ビジネス用ジェットやファーストクラスの乗客の中には、便座に触れたくないと思っている人がいます。昨年Hamburgで開かれた航空機の展示会には、センサーとモータにより自動化された便座が、展示されていました。増え続ける快適な機能の中で、電動式便座は、少し特殊な例かもしれませんが、現代社会のあらゆる面で快適さを求める傾向を如実に表しています。 

この傾向をどのように考えられていますか?

トレンドの始まりは、装置や機能にいくらでもお金をかけられる、自家用ジェット機やビジネス用ジェット機かもしれません。これらのジェット機には、ボタンで上下に移動するタブレット型コンピュータ用のテーブルや、ホルダー、電動で開閉するブラインドなどが装備されています。これらの設備や機能で乗客の満足度が高かったものが最初にファーストクラスで採用され、その後ビジネスクラスに展開されるというのが一般的です。たとえば、数年前にファーストクラスに導入された電動シート調節は、今ではどのクラスにも採用されています。最近増加傾向にあるプレミアムエコノミークラスに、多くの快適な機能が採用される日も近いでしょう。

電動シート調整、電動式伸縮テーブル及びタブレットホルダーによる、最大限の快適性
いつでも「オンライン」 – 機内アンテナを利用し、座席からリアルタイムでインターネットにアクセス
操作が簡単な窓のブラインドは好みの位置に調整でき、しかも静かでスムーズ

航空機の客室の要件を満たすモータとはどのようなモータでしょうか?

最も重要な要件は信頼性です。飛行中に故障したり破損したりしてはなりません。これは、当然長時間のメンテナンスフリーであることも意味します。次に重要なのは重量です。1Kg毎に燃料消費が増える事から、航空会社もできるだけ軽量な設備を要求します。客室のモータの中で、エアコンのファンが最も電力を消費します。そのため航空会社ではモータの消費電力はあまり問題にしていません。ただし、高い電力密度も非常に重要です。電力密度が高いと小さい質量から多くの電力が取り出せます。したがって、少量の電気でも相当量の電力が確保できます。

これはFAULHABER社にとって何を意味するのでしょうか?

航空会社や客室内装会社が、ドライブソリューションに対して要求する内容を見ると、弊社の製品仕様書と間違えるくらいです。つまり弊社の製品は、特に電力密度、信頼性、メンテナンスの間隔で他社製品より優れ、基準を超えているということです。実際に機体航空機が使用できなくなったときに、FAULHABER社の製品はまだ交換の必要はありませんでした。最近、航空会社の仕様が非常に厳しくなりましたが、FAULHABER社ではこれを新たなビジネスチャンスと見ています。

その詳しい理由を教えてください。

現在、航空機の客室で使用されているモータは、ほとんどファーストクラスとビジネスクラスのシート用です。シートはもともと、主に自動車部品メーカーによって製造されていましたが、これらのシートに使用されるモータはほとんどが量産品で、新しい要求事項を満たすことができません。そのために、この用途に使用するには「高性能すぎる」と思われていたFAULHABER社のモータが選択されました。FAULHABER社のモータ、ギアヘッド、ブレーキ、エンコーダで構成された機能的なドライブシステム製品は、お客様が求める仕様を満たす事が出来ます。 

お客様にとってどのようなメリットがあるでしょうか?

ドライブシステムは、互いの動きに対し1つ1つのコンポーネントが最適化され、完璧に連動します。これは最高の効率を生み出します。例えば、非常に高品質の遊星ギアヘッドを使用しています。また、エンコーダに関してもシャフトの動きを高い精度で検出する為、非常に精密に制御し、調整する事が出来ます。またロック機能で最も重要なブレーキも同様です。 もちろん、すべてのコンポーネントが高品質の基準をみたしており、この特定の分野の技術を牽引し、60年以上の経験を積んできました。

航空業界におけるFAULHABER社の実績を紹介してください。

ファーストクラスのリクライニングシートの駆動装置を15年以上供給しています。エアバスA 319のビジネスクラスの窓のブラインドは、わずか192グラムのFAULHABER社製ブラシレスモータ3242 BX4で開閉します。その他、安全が必須な個所には、必ずFAULHABER社のモータが使用されています。たとえば、客室の扉や非常口のロック機構やパイロットのシートのロック機構です。パイロットのシートは離陸および着陸時に決められた位置に固定されていなければなりません。また、空調システムの圧力調整弁バルブにもFAULHABER社の製品が使用されています。 

今後、さらに動力化や電動化が進むのでしょうか?

折り畳みスクリーン等、ビジネスクラスのエンタテインメントシステムで、電動化が進んでいます。まもなくエコノミークラスにも同じような設備が導入されることでしょう。さらに、機内でタブレット端末の使用を希望するお客様が増加していますが、現在タブレット端末用のホルダーも電動化されています。モータで動くテーブルやパーティションが、ほとんどのファーストクラスに装備されていますし、アームレストのシートへの収納もモータを使用しています。このアームレスト収納は、座るときに邪魔にならないためとても便利です。ちなみに、このトピックの冒頭でお話しした電動式便座ですが、ビジネス用ジェット機のメーカーや航空会社では特にサウジアラビア航空が強い関心を示しています。