パワフル、高速、高精度
- Powerful, fast and precise -

産業用のマテリアルハンドリングや自動化タスクにおいて、加工材料やツールを所定の位置へと回転させなくてはならないことが頻繁に起こります。そこで大きな需要が生まれているのが旋回ユニットです。高速かつ正確な駆動から、ハイパワー駆動、保守の容易さなど、求められる要件は多岐にわたります。実際には、パワフルな空気圧式ドライブでは、決められた位置に正確に到達するのが困難であったり、コンパクトな電動ドライブでは、作業に求められる十分なパワー出力を発揮できないなど、これら様々な要件を満たすのは容易ではありません。旋回ユニットの新しい標準として、両ドライブの新たなコンセプトの組み合わせが、いま求められています。


2つの空気圧式シリンダーがピストンラックを介しシャフトピニオンを駆動すると、当然の事ながら強力な回転運動が発生します。ピストン表面と圧力によっても左右されますが、非常に強力な駆動力がシャフトに伝達されます。このアプローチのデメリットは、圧縮性の気体を使っている点です。これはつまり、制御弁テクノロジに多大な費用をかけても、素早く所定の位置まで動かすのはほとんど不可能であることを意味します。一方、設置面積の小さな電動式ドライブを使ったソリューションだと、多くの場合、作業に必要なパワーが不足することになります。産業用のマテリアルハンドリング機器の製造に特化する独Schunk社では、この両ドライブを組み合わせることで課題の解消に成功しています。電動ドライブコンポーネントに関しては、シェーナイヒを拠点とするマイクロモータの専門企業FAULHABERと提携しました。その結果、コンパクトで高精度かつ作業効率に優れた旋回ユニットが生まれました。

小回り抜群な、コンパクトな筐体に搭載されたハイブリッドドライブ

パワフルで高精度な回転

新しいドライブでは、空気圧式と電動式ドライブが互いの課題を補完するコンセプトが採用されています。空気圧式ドライブは、必要とされる高出力のパワーを提供し、電動モータが素早い反応と精密な制御性を実現します。このコンセプトに基づいて設計されたSRU 40 Masterdriveには、ドライブコンポーネントに加え、両ドライブの主な長所を最適活用するために必要となる電子制御ユニットが搭載されています。
インテリジェントなドライブ選択により、異なる負荷でも短時間サイクルを実現できます。PLCからの始動信号を受け取ると、すぐにサーボモータが起動します。あらかじめ定義されている遅延設定により、空気圧式ドライブが「ターボ」ユニットのように機能し、必要なトルクを発揮します。これにより、瞬時のソフトな起動とパワフルな加速が得られます。減速時は、空気圧式ドライブが前方への推進力の抑制を担い、電動モータが正確な位置にユニットを動かします。また、高負荷の制動プロセスにおいて空気圧式ドライブは、特定のパラメータに合わせて調節できるソフトなブレーキングとして機能するため、このデザインには摩耗しやすい油圧式ショックアブゾーバーを必要としません。
高精度な制御システムであるにもかかわらず、旋回ユニットは、濾過空気用の圧縮空気接続、およびドライブから制御キャビネットへの制御ケーブルのみで管理されています。ここでは、制御ボックスにより、PLCや標準24V電源に接続されます。このように、プログラミングを必要とせず、デジタル入出力経由で、容易に5つまでの位置決め設定が可能です。PLCからのパルス信号が指定された位置に送られ、ドライブがそこに到達すると、フィードバック信号を返します。また、空気圧式ドライブが、13 Nmの高トルクを発揮します。DCマイクロモータのシンプル制御により、旋回角度180°と、驚異的な停止精度0.03°を実現しています。

調節が容易

最新のDCマイクロドライブは、手頃な価格設定、優れた耐久性と信頼性に加え、電圧のPWM(パルス幅変調)制御のおかげで調節が容易となっています。本用途においては、約100Wで 24Vのモータが「スムーズで高精度な駆動」を担保しています。また、ドライブの消費電流がわずか4Aであることから、コンパクトなデザインと低損失での始動が可能となっています。4象限動作のモータでは、駆動および制動機能の両方が想定されているため、位置決めタスクに最適です。また、低負荷でのソフトな始動、および高い短時間での過負荷耐力は、さまざまなドライブ用途に有効です。
ドライブは、永久潤滑式ベアリングを使用しており、完全に保守不要です。マイクロモータのモデルは多岐にわたりますが、多くの場合、今回のように標準的ドライブが利用されています。特別な用途については、必要に応じて、適切なデザインのモータをカスタマイズして利用することが可能です。最小の労力でドライブソリューションの最大の効率を達成する必要がある場合、早い段階でFAULHABERのサポートを受けることをお薦めします。同社のエンジニアが、長年の経験に基づき、駆動技術に関するすべての課題に取り組んでくれるため、ユーザ企業は本来の基幹業務に専念できます。
最新のマイクロモータは、多様なタスクに適しており「モノの駆動」で社会に貢献しています。単一の駆動源としても、あるいは他の駆動システムとの併用によるハイブリッド設計の場合でも、最先端マイクロドライブの可能性は、製品開発者の想像力に応じて無限に広がるのです。