ロボットサッカーは、小型、中型、4本足、人型の4つの部門に分けられています。ドイツチームが優勝したのは小型部門で、競技は面積が4.90m×3.40mのフィールドで、重さ46g、直径43mmのボールを使用して行われます。選手は直径180mm、高さ225mm以内の円筒形に収まらなければなりません。人間のサッカーと同様に試合は前半と後半に分かれ、間に10分のハーフタイムがあります。ロボットサッカーのルールではプッシングがイエローカードやレッドカードの対象になり、破損をした場合は控えのロボットとの交代が認められています。
団結力
4機の選手と1機のゴールキーパーで構成されたチームが、ルールに従って黄色と青色に分かれて対戦します(詳細はwww.robocup.orgをご覧ください)。ロボットの上部中央にある直径50mmのカラーバッジがユニフォームの色で、その他のカラーバッジは各選手のポジションを表します。ロボットはシステムによって自律的にナビゲートすることも、センシング機能を備えた外部のコンピュータと無線でコントロールすることもできます。フィールド全体は上からカメラで録画され、人間のスタッフは選手の投入と取出し以外は、フィールドに入ることができません。ボールを蹴る動作は、電磁石を使った「キックスティック」でコンピュータ制御します。
コイルへのコンデンサからの放電によって、ボールの最高速度は12m/s(約45km/h)までに達します。したがって、ゴールキーパーには瞬発力が求められます。これらの厳しい条件で勝敗を分けるのは、ソリューションをどこまでカスタマイズできるかです。ベルリン自由大学のチームはまったく異なるコンポーネントを組み合せて1つのチームを編成しました。 1つ1つのコンポーネントが強固であればシステム全体も強固になります。そのため設計の基本はシンプルで頑丈であることでした。1人の選手がプレーに失敗しただけで、チームが負ける可能性があります。ロボットのサッカーでも次のことが言えます。まずゴールに到達できなければ勝つことすらできません。ロボットの電子回路への無線データの送信やロボットを駆動するシステムは、外部制御コンピュータで構成され、仕組みは非常に複雑です。ベルリン自由大学のチームはこうしたシステムにユニークなアイディアを取り組むことで、ロボカップの栄冠を獲得しました。彼らは3回の準優勝を経てようやく念願のタイトルを手にしたのです。
スプリンターとドリブラー
ロボットは4個の全方位車輪によって駆動します。各車輪の円周には、進行方向に対して横方向に向けた回転する小さな車輪がびっしりと並んでいます。この構成の利点は、直接制御できることです。4個の車輪はそれぞれ個別のモータで駆動る為、方向を変えるときは該当する車輪のモータを停止するだけです。ロボットは停止した車輪の、円周に配置された小さな車輪が動く事により、希望する方向に直進出来ます。自動車のような「カーブ」ではなく、直角に方向転換できるため、狭い空間でも優れた機動性が発揮されます。駆動には、FAULHABER社が開発した貴金属整流子搭載のDCモータが使用されました。IE2パルスジェネレータ(64パルス/回転)を搭載した2224 SRシリーズのモータに、20/1の遊星ギアヘッドが組み合わされています。このコンパクトなユニットは追加のコンポーネントなしで精度の高い制御が可能です。長い距離をすばやく走る必要がある選手は減速比が14:1で、瞬発力が求められるゴールキーパーの減速比19:1より低く設定されています。そのため、狭いピッチにもかかわらず重量が1.8kgのロボットは、3~4m/sのスピードがでます。通常、この速度は標準の動作仕様では達成できません。このモータの動作電圧は、標準製品は6Vですが、10Vの物が採用されました。また、プッシングを防止するために、ロボットは急停止出来なければなりません。その結果モータには瞬間的に最大20Vの逆起電圧が印加されます。この過負荷にもかかわらず、ロボットに搭載されたモータは4年間、つまり数百時間の間、問題なく作動動作しています。高機能なFAULHABER社のソリューションでは、減磁、ベアリングの損傷、ブラシの消耗、電機子コイルの半田の剥離など、低価格の他社駆動装置で発生する問題は1つも報告されていません。世界チャンピオンに期待されるレベルの水準です。コンパクトなサイズで十分なパフォーマンスを発揮するFAULHABER社のマイクロモータは、一般的な用途と異なる特殊な用途にも幅広く対応できます。採用された最先端の素材とともに豊富な経験がこれらを実現しています。完全に同期が取れたエンコーダとギアヘッドは、ロボットサッカーのみでなく、コンパクトな設計と性能が不可欠な工業用途でも強みを発揮します。また、高い信頼性と耐久性に優れたコンポーネントは運用ランニングコストとメンテナンスコストを削減します。これは、試合終了のホイッスルが鳴るまで最大限の効率が求められる用途にとって、うってつけのソリューションと言えるでしょう。