土木作業員が下水道を工事するために道路を掘り返し、数週間にわたり車を通行止めにしていた日々は、既に過去のものとなっています。下水道管の検査や補修作業をすべて地下で行うことができれば、はるかに効率的です。
今日、下水道管ロボットは、排水管内部から数多くのタスクを実行できます。これらのロボットは、都市インフラの維持管理において、ますます重要な役割を果たしています。下水道は、全長5千億キロメートルを超えると言われ、その数メートル上で土木作業員が下水道を工事するために道路を掘り返し、数週間にわたり車を通行止めにしていた日々は、既に過去のものとなっています。下水道管の検査や補修作業をすべて地下で行うことができれば、はるかに効率的です。
今日、下水道管ロボットは、排水管内部から数多くのタスクを実行できます。これらのロボットは、都市インフラの維持管理において、ますます重要な役割を果たしています。下水道は、全長5千億キロメートルを超えると言われ、その数メートル上で営まれる都市生活を妨げずに、保守作業を行えるのが理想的です。
掘削機の代わりを務めるロボット
以前は、損傷箇所を特定するため、地下にある下水道管をある程度の長さにわたって掘り起こす必要がありました。今日では、下水道管ロボットが工事を一切行わずに評価作業を実施します。「下水道管ロボットの種類はさまざまです」とこの成長市場セグメントを分析したFAULHABERのRegina Kilb氏は説明します。「通常、小口径の配管用のロボットは、ケーブルハーネスにつながっており、ハーネスを出し入れすることによって動作します。これらが装備しているのは、ダメージを解析するための旋回カメラだけです。一方、大口径の配管用ロボットは、台車に取り付けられ、多機能な作業用ヘッドが装備されています。これらのロボットは、長い間水平管での作業に使われていましたが、最近では垂直管にも利用できるようになりました。」
最も一般的に使用されるタイプのロボットは、勾配がわずかな下水道において、直線的な水平移動を想定して設計されています。これらの自走式ロボットは、シャーシ(通常は少なくとも二軸のフラットカート)とカメラを搭載した作業ヘッドで構成されています。他のバージョンでは、パイプ内の曲がりをナビゲートすることが可能です。さらには、その車輪やキャタピラを配管の内部壁に押し付けながら進むことで、垂直管の中をでさえ移動できるロボットもあります。車体フレーム上の可動式サスペンションが、ロボットを配管内の中心位置に保ち、またスプリング方式により、凹凸や配管断面形状のわずかな変化に対してもロボットの平衡を保ち、走行面との摩擦を維持します。
このような下水道管ロボットは、下水道の配管内のみならず、化学、石油化学、オイル、ガス産業における産業パイプラインシステム内においても活用されています。「車体に搭載されるモータには、極めて高度な要件が求められます」とRegina Kilb氏は強調します。「電源供給用やカメラ画像の伝送用のケーブルを引っ張って行く必要があります。こういった理由から、モータは最小限のサイズで高出力の発揮が求められるのです。」
配管内での作業
下水道管ロボットには、自動で補修作業を実行するために、万能な作業用ヘッドが装備されています。この作業用ヘッドが、配管内の障害物、表面の形成物や沈殿物、突起物による不均衡箇所を切削や研磨によって除去します。車体に装備しているシーラント剤により配管内の小さな穴を埋め、封止用プラグで穴を塞ぐこともできます。大きな配管用ロボットでは、作業用ヘッドが可動式アームの先端に装着されている場合があります。
そのような下水道管ロボットの場合、ドライブには車輪やキャタピラの駆動、カメラの動作、各種ツールの駆動、そして本体を必要な位置に動かすための可動式アームの駆動など、最大4つの駆動タスクがあります。また中には、カメラのズーム機能を調節するための5番目の駆動機能を採用しているモデルもあります。
常に目的に応じたアングルでの画像撮影ができるよう、カメラ本体も旋回や回転ができることが必須となります。カメラブラケットには大きな搭載スペースを必要とせず、これに合わせて小型かつ高精度のモータが求められます。オプションとして、全長12mmの極めて短いフラットギアモータ1512 SRシリーズや、これより大型モデル2619 SRシリーズがあります。FAULHABERの豊富な製品レンジには、ステッピングモータや対応ギアヘッドを装着できるブラシレスモータ(直径3mmから)が含まれます。「当社製ドライブは、各サイズのクラスにおいて最高の効率性とエネルギー密度を実現しています」とRegina Kilb氏は強調しています。
重いケーブルの牽引
車輪駆動の設計も多岐にわたり、台車全体、各シャフト、または各車輪を、それぞれ個別のモータで駆動するタイプがあります。モータは、車体やその付属品を作業場所に移動させるだけでなく、電気ケーブルに加え、重い空気圧や油圧用ケーブルを牽引する必要があります。
時にその範囲は2千メートルにおよび、牽引するケーブルの総重量は相当なものとなります。「したがって、駆動には高トルク出力が必要とされます。」とプロセスエンジニアは述べています。「同時に、駆動が障害物によって妨げられることが頻繁にあります。フルスピードでの過負荷は定期的に発生します。これに耐えられるのは、非常に頑強なモータとギアヘッドだけです。このような用途には、グラファイトブラシの3257 CRシリーズ(32/3Rギアヘッド装備)またはブラシレスモータの2264 BP4シリーズを推奨しています。
モータには、サスペンションを固定し、過負荷時に発生する力を吸収するためラジアルピンが内蔵されています。」
ロボットアームに利用されるモータでは、ラジアル駆動のモータに比べ小さな出力ですみ、カメラ搭載型に比べ、十分なスペースが確保できます。このパワートレインでは、他の下水道管ロボットに比べて、それほど高い要件を求められていません。「こうしたタスクに対しては、豊富な標準品のモータが用意されています。」とRegina Kilb氏は説明します。「さまざまな用途に合わせた最適なソリューションの提供が可能です。」
パイプインパイプ
昨今、下水道管への破損は交換するのではなく、プラスチックで内部補強することが増えています。この場合、空気圧および水圧をかけてプラスチックのチューブを下水道管内に挿入します。続いて、プラスチックを硬化させるために、紫外線を照射します。この目的のために、パイプ内を移動する、高出力ランプを装備した特殊なロボットもあります。特殊ロボットによる作業が完了すると、変わって作業用ヘッドを装備した多目的ロボットが、側面で分岐する管口を削孔します。これは最初に、ホースで配管内の排水口や注入口をすべてシーラントで塞いでいるため必要となる作業です。このような工事では、硬化プラスチックを切削し、次々と開口部を削孔していきますが、作業に何時間も要することが少なくありません。作業を中断せずに遂行できる優れた耐用性と信頼性が、モータ選定の重要な判断基準となります。
コンパクト&パワーの両立
一方、ツール用のドライブでは、常に作業用ヘッドのスペースが限られていることから、コンパクト設計で常に最大限のパフォーマンスが求められます。同時に、強力なグリップ動作や何時間にもおよぶ切削作業を、故障なく長時間行える高出力のモータが必要となります。
「たとえば2057 BHS型モータは、回転速度30,000rpmを超える切削用ヘッドの用途に開発されています。」とRegina Kilb氏は述べています。