ストレスのない歯根管治療のための、FAULHABER社製DCマイクロモータ
- Root Canal Treatement without Stress

歯内療法または歯内療法学は専門的な歯科分野です。最も一般的なのは、歯髄(別称「歯の神経」)に炎症がある場合に施す歯根管治療です。これは皆さんの多くがご自分で体験することになるものです。この治療では、歯科医が「神経」を抜き、歯根をきれいに清掃して消毒し、詰め物を装着します。歯を温存し、患者ができるだけ長く痛みを感じない状態を維持できるようにしなければならないため、治療には慎重さが求められ、決して簡単なものではありません。現在は、新しい知識、手法、装置のおかげで、患者の不快感を最小限に抑えた形でこの難しい歯根幹治療が行えるようになりました。最新のモータ技術がこの進化に大いに寄与しています。FAULHABERのDCマイクロモータが、歯科治療において更に広まりつつある新しい歯内療法用装置を牽引しています。


歯根治療を成功させるには、高い専門知識、特殊な技術的装置、特殊な器具と材料が必要です。加えて、かなりの時間を要します。治療を施す歯科医は手先がかなり器用でなければなりません。細菌と壊死物質と一緒に、歯髄組織を歯根管から完全に除去する必要があります。詰め物をできるだけ長く維持するために、根管壁の形状を変えずに、かつ歯根を過度に弱らせない形で根管壁を均等に治療する必要があります。これらの手順を実施して最大限の効果を上げることができれば、つい最近まで抜くしかなかった歯も温存できるようになります。

手にぴったり収まる静音技術

最新の自動化技術は、歯内療法の進化にも寄与しています。この良い例として、コンスタンツ湖畔のゴルダッハに拠点を置くNouvag AG社が開発した歯内モータ装置「TCM Endo R11」があります。この優美でユーザーフレンドリーな超小型装置は、歯科医による歯根管の清掃・治療を容易にしてくれるため、治療の成功に決定的に寄与しています。
この新しい装置は基本的に、3つのコンポーネントで構成されています。治療を施す歯科医に重要な情報をすべて映し出す明快な構造のディスプレイを備えたコントローラーユニット、オン/オフスイッチ機能を備えたフットペダル、そしてハンドユニットです。ハンドユニットは、ドライブユニットを内蔵し、かつ交換可能な歯科用ミルを装備した角度のついた部分があるハンドピースで構成されています。ハンドピースはドライブユニットによって駆動し、手の届きにくい箇所でも人間工学的な治療を可能にします。

DCマイクロモータとスパーギアヘッドのコンパクトな組み合わせ。スリムラインドライブユニットは、この治療装置のハンドピースに簡単に組み込むことができます。
「TCM Endo」はユーザーを考えた、超小型歯内療法用装置です。

小型、強力、静音:三拍子揃った完璧なドライブユニット

ハンドピースに適したドライブ装置を見つけるのは非常に困難であることが証明されています。主要条件として、コンパクトなだけでなく、60~ 500 rpmの速度範囲における1~5 mNmのトルクも求められました。当然ながら、精度の高い集中治療を可能にし、治療中に聞こえる歯科医と患者の両者にとって不快な音をなくすために、低振動・静音動作も望まれました。したがって、ギアヘッドの音もなくす必要がありました。口腔内を治療するため、音と振動が耳管を直接伝わり、患者に音が非常にはっきりと聞こえます。そのせいで、痛みという恐怖感を抱かせてしまうことが多々あります。
そのため、スムーズな稼働と低騒音操作を特徴とするFAULHABERのDCマイクロモータシリーズがこの用途分野に特に適していることが証明されたのは当然のことです。直径15 mm、長さわずか24 mmの1524シリーズのDCマイクロモータがこの歯内療法用装置のハンドピースに使用されていますが、簡単に組み込むことができました。モータは高出力密度のおかげで、小型と軽量の両方を実現しています。わずか18 gの重量は、この特定用途にとってさらにプラスとなる特徴です。結論として、治療が長時間に及ぶ場合でも、あるいは1日に多くの患者を治療する場合でも、この装置は精度の高い疲労のない治療を約束します。DCマイクロモータは、減速比11.9:1の2段階式超静音スパーギアヘッドと組み合わせています。ドライブユニットの長さはモータと合わせてもわずか33 mmしかありません。

低慣性でつまりが発生しない動作

FAULHABERのDCマイクロモータは、主に設計面で他のタイプのものと一線を画しています。ロータは、ラミネート加工されたシートパッケージではなく、自立型の傾斜回転銅コイルで構成されています。このロータは、ベルタイプのアーマチャーとして知られていますが、超軽量かつ超低慣性でコギング無く動作するのが特徴です。そのため、モータは高い動的性能と精密な速度制御を実現します。貴金属を使用した通信装置についても、低接触抵抗のおかげで低出力モータにとって理想的であることが証明済みです。さらに、DCマイクロモータはリニア特性によって制御しやすくなっています。歯内療法用装置のドライブ電子部品に適合する作動ユニットを簡単に組み込むことができました。
その一方で、FAULHABERのDCマイクロモータは、新しい歯内療法用装置で十分に試行されています。2014年中盤以降、歯科医と患者の両方が、この歯根疾患に対する効果的な治療のメリットを享受しています